パドックの見方

パドックとはこれからレースに出走しようとする馬の下見所です。 日常生活で馬に触れる機会の少ない私たちにとって、実物のサラブレッドを初めて目にしたのが競馬場のパドックだった、なんて人も結構多いのではないでしょうか。 私もその一人であり東京競馬場のパドックで、生まれて初めて見たサラブレッドの大きさに、驚きを隠すことができませんでした。 極限にまで鍛え上げられたサラブレッドの美しさや、勝負服を身にまとったジョッキーたちの華々しさにしばらく見とれていたのを思い出します。 あれから数年の時を経た今でも、競馬場に行ってパドックに立つと、あの時と変わらず胸の高鳴りを抑えることができません。 パドックは競馬予想における素晴らしいファクターの一つで競走馬の状態を観察する最初で最後の場所です。 見方を覚えるのは経験が必要ですが、慣れるに従い競馬予想に欠かすことのできないものになるでしょう。 そんな魅力あふれるパドックの見方をこれから解説していきたいと思います。

パドックで見るべきポイント

(1)馬体の仕上がり具合
まず、これから出走する競走馬の馬体重が適正であるか判断しましょう。 その馬が好走している時の馬体重を基準にすると判断しやすいと思います。 そこから増減が10kg以上だった場合、太めから細めの判断を問われることになります。 どこで判断すべきでしょうか? 初心者でも分かりやすいのはお腹のラインを見るのが一番判断しやすいと思います。 馬の個体差もありますが、太めであれば人間と同じようにラインが緩みがちになり重々しく歩いてるように見えます。 逆に細いと腹のラインの角度が鋭くなりアバラ骨もクッキリ見えるようになります。 丁度良い状態というのは、うっすらアバラ骨が見え筋肉のラインがクッキリ分かるようなら問題はないでしょう。 あまり詳細な判断を下す必要はないのでよほど酷くない限りは気にしすぎるのは競馬予想においてマイナスになる場合もあるのでサジ加減に注意したい所です。 また、芝とダート馬で判断の基準が分かれます。 芝の場合は、早い加速が必要となるので太めは敬遠されますが、パワーのいるダートの場合はさほど気にする必要はないかもしれません。 逆もまた然りで覚えておくと役に立つポイントだと思います。

毛づやを見ると良いと言われていますが、私は推奨しません。 理由としては競走馬の毛色による光の反射具合により見え方がまるで違うことにあります。 色が白っぽい芦毛などは、光を受けると反射が強く良し悪しの判断がつきません。 それに今どきの競馬は昔より管理方法が長けているので悪い状態での出走は少ないため毛づやに重きを置く必要はないのです。

(2)馬の落ち着き具合
これから走る馬にとって体力温存の観点から落ち着いているかの判断は重要です。 馬が首を上下に動かし小走りでパドックを周回しているような馬をイレ込みといいます。 これは馬がこれから走ることが分かっており、早く走りたくてしょうがないのです。 イレ込みがひどいと体力を著しく消耗することになり、レースに行っても騎手の指示に従わず折り合いを欠くことになるのです。 イレ込みの判断は競走馬の目を見るのが一番分かりやすいと思います。 人間でもそうですが、パニック状態に陥ると瞳孔が開き目の輝きが失われ黒目がちになります。 馬にも同じ事が言えるので目を見るが一番確実なポイントだと考えています。 ただ、テレビなどでは判断は難しいので発刊が激しい、口から泡を吹いているなど別のポイントで判断した方がいいでしょう。 レース中の折り合いは距離が伸びるほど大事なので比例して落ち着きが必要になります。

(3)縦の比較
パドックでは周回している他馬との比較ではなく、見ている馬自身の前走との比較が重要になります。 前走がイレ込んで僅差で負けているのであれば、落ち着きがある今回は勝負できるなどの判断に役立ちます。 ただ、これをやるのはメモを取ったりなど大変な作業であるのが欠点です。 自分でデータベースを作ったり見るべき馬を絞るなどの対策が必要になるでしょう。

全てを判断しない

パドックで全てを把握するのは調教師でも無理です。 分かることだけチェックし曖昧なところは分からないままでいいのです。 どうしても納得いかない所があったりするなら馬券を買わず見るだけに留めておくことも大事な戦略と言えるでしょう。

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